長持ちするコーキングの意味がない?目地幅と深さの重要性

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コーキングの適正目地幅と深さ

いなり

戸建住宅の外装に詳しい、住宅資材のメーカー勤務8年目のサラリーマンです。戸建住宅の新築、改修について発信しています。特に外壁(サイディング)やシーリング(コーキング)のニッチな内容が得意です。わたし自身5年前に戸建住宅(建売)を購入し、そのとき気になった点や大変だったことをまとめて発信しています。

コーキングの色が白くなっていたり、切れていたり、ヒビが入っていたりしていませんか?

それもマイホームを建てて数年で…

長持ちコーキングを使ったのに数年で劣化している場合は目地深さに、剥離している場合は目地幅に問題があるかもしれません。

100棟以上のコーキングの不具合を見てきた営業マンが目地について解説します!

この記事でわかること

  • コーキング目地幅、目地深さの重要性
  • 目地形状と不具合の関係性

結論

  • コーキング本来の性能を引き出すには適正な目地幅、目地深さが必要
  • 適正目地形状は、目地幅 10〜15mm 目地深さ8〜10mm
  • 横長方形が適正(深さは幅を越えない)

コーキング目地の種類

目地には、壁材の他にも様々な部材との取り合いがあります。

目地の種類ごとにかかる負荷も変わってくるので、劣化の進行も様々です。

板間目地(ばんかん)

壁材と壁材の隙間。特に、壁材の長さが長いほど、壁材本体の収縮が大きくなるため、長い壁材同士の板間目地は拡大収縮の幅が大きくなる。

なので、経年での疲労が蓄積され、板間目地は一般的な箇所より劣化が早い傾向にある。

ちなみに、目地の収縮は数ミリ単位なので、目視での確認は難しい。

入隅目地

壁材の面同士がある角度で出合う箇所で、内側の場合「入隅目地」という。

壁材小口面(側面)と壁材表面が取り合う事になる。近年では、外壁材の表面塗膜の強化により、コーキングの接着が弱くなってしまうものもある。

入隅部のヘラ抑えは、先が円形になったヘラを使用することが多い。また、職人がその場でならしバッカーを切って専用のヘラを作ることもある。

出隅目地

壁材の面同士がある角度で出合う箇所で、外側の場合「出隅目地」という。入隅とは違い、専用の出隅材があるため、コーキングの接着面は小口同士になる。出隅は、サイディングメーカー純正品もあるが、同質のサイディングで作られた同質出隅がある。

同質出隅はサイディングメーカー純正品より安価のため多く流通している。

開口部目地

開口部と呼ばれる、壁材に穴を開けた箇所に窓などのサッシを設置した際にできる、壁材とサッシの隙間のこと。

開口部目地には、通常のハット型ジョイナーが使用できないため、片面のつば部分を無くした「片ハット方ジョイナー」を使用します。通称片ハットと呼ばれます。

トーコーHP参照

開口部や入隅、軒天と壁材の取り合いのように、複数の部材が重なる箇所に使用されます。

コーキング目地幅と深さ

幅10mm〜15mm、深さ8〜10mm

横長方形が適正(深さは幅を越えない)

適正な目地幅、目地深さを確保できなかった場合、さまざまな不具合に繋がってしまいます。



コーキング不具合に関しては

にまとめていますのでご一読ください。

コーキング目地幅

目地幅は、コーキング剤の耐久性に大きく起因します。

単純に幅が大きい方が伸びしろがあるので、目地幅の拡大収縮に柔軟に追従します。

目地幅が短いと、目地幅の拡大収縮にうまく追従できず、剥離してしまうケースがあります。

逆に目地幅が長すぎると見た目を損なうため、最低限の幅の限度が10mm~15mmとなります。

目地深さ

目地深さは、耐候性に大きく起因します。耐候性は紫外線に対する強さのことです。

目地深さをしっかりと確保しなければ、ひび割れ(クラック)や白化(チョーキング)などの不具合が生じてしまいます。

極端に言えば、目地深さがあればあるだけ紫外線に対して強くなります。

では、なぜ深さがある方が紫外線に強いのでしょうか。簡単に図解すると下記のようになります。

コーキングに含まれる耐候性付与材は列をなして紫外線と戦います。

列をなすための枠が目地深さにあたります。

劣化させないためにも目地深さをたっぷり確保したいところですが、動きにも追従しなくてはならないため、そうはいきません。

コーキング目地は横長方形が適正サイズ

コーキング剤の耐久性と耐候性を最大限に引き出すには、横長方形が適正です。

目地幅が10〜15mmなのに対して、深さはその長さを超えてはいけません。

仮に縦長方形にしてしまうと、剥離や目地切れになってしまう可能性が上がります。

その理由は「接着面が多くなると、引っ張られる力が増加するから」です。

例えば、湯船に多めにお湯をはって入るとしましょう。

体が入ることによって水が溢れ出ますよね。

このとき、溢れ出る水にはそれぞれ同じ力がかかっているので、水はそれぞれの均等に溢れ出ています。

コーキングが引っ張られた時も同様に、接着面全体に同じ力がかかっているので、接着面が増えるほど負荷が大きくなるということです。

紫外線対策で目地深さを長く確保したいところですが、長期的に動きに追従するために、深さも限度があるのです。

まとめ

コーキング本来の性能を引き出すには適正な目地幅、目地深さが必要

適正目地形状は

目地幅 10〜15mm、目地深さ8〜10mm

横長方形が適正(深さは幅を越えない)

長寿命コーキングを使用しても、適正目地幅目地深さを確保しなければ、本来の性能は発揮されません。

近年リフォーム業者などのHPでよく長寿命コーキングを目にしますが、根本的な適正目地形状に触れられているHPは見たことがありません。

良い製品と正しい施工が合わさってはじめて、良い工事や良い物件が提供されます。

製品の良し悪しばかりにとらわれないよう、ご注意ください。

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